AIの薬機法チェックの精度はどこまで?誤検知が起きる仕組みと使い方
「AIの薬機法チェックはどれくらい正確か」という質問には、1つの数字では答えられません。精度という言葉が2つの別々のものを指しているからです。何がどう起きるのか、どこまで設定で改善できて、どこから先は人の仕事として残るのかを整理しました。
「精度」は2種類ある
法令チェックで起きる間違いは、方向の違う2種類に分かれます。
| 見逃し | 本当はNGなのに、指摘されずに通過してしまう。気づけないのがこちらの怖さです。入稿して審査に落ちるか、最悪の場合は公開後に指摘を受けて初めて分かります |
|---|---|
| 過検知 | 問題のない表現までNGとして拾ってしまう。確認の手間は増えますが、人が見て消せます |
この2つは同時には減りません。拾う範囲を広げれば見逃しは減りますが過検知が増え、狭めればその逆になります。「精度99%」のような1つの数字が意味を持たないのはこのためです。どちらを優先するかを決めて、そこに合わせて設定するしかありません。
前提として、AIによる判定である以上100%の保証はできません。チェックを通したことをもって法令違反がない、あるいは媒体審査に通ると保証するものではありません。明らかなNGを入稿前に洗い出し、差し戻しの回数を減らすためのものとお考えください。最終的な判断は自社の法務部門または専門家にご確認ください。
誤検知が起きる4つの原因
1. 商材区分の指定が実態と違う
同じ「肌にうるおいを与える」という表現でも、化粧品として売っているのか健康食品として売っているのかで、言ってよい範囲が変わります。チェックの前に商材区分を指定しないと、判定の基準が定まりません。区分の指定を忘れたまま投げて「指摘が多すぎる」「見当違いの指摘が出る」となるケースが、誤検知の相談でもっとも多い原因です。
2. 前後の文脈で打ち消しているのに、該当箇所だけが読まれる
「〇〇が治る、というわけではありません」のように、前半だけを取り出すとNGに見える書き方があります。文脈を追えば問題ないケースですが、該当箇所を単独で見ると引っかかります。これは人が見て消す前提の指摘です。
3. 打ち消し表示が離れた位置にある
「※個人の感想です」のような打ち消し表示が、対象の表現から遠い位置やページの最下部にある場合、対応関係が読み取れません。ただしこれは判定の誤りではなく、実際に景品表示法上の論点でもあります。打ち消し表示は対象の近くに、読める大きさで置くのが原則です。指摘されたら設定ではなく表示の位置を見直すべき場面です。
4. 画像内の文字の読み取り
バナーに焼き込まれた文字は画像から読み取ります。装飾が強い書体、文字が背景に溶け込んでいる、縦書きと横書きが混在している、といった条件では読み取りの精度が落ちます。デザイン上の都合で判定が変わるのはこの部分です。
精度を上げる4つの設定
- 商材区分を指定する化粧品、医薬部外品、健康食品、医療広告、医薬品、雑貨、痩身、脂肪溶解注射、レディース脱毛、メンズ脱毛、いびき治療、ペットフード、その他の13区分からON/OFFで選びます。ここを正しく指定するだけで、的外れな指摘はかなり減ります。
- 除外設定を使う体の部位や病名を指定して判定対象から外せます。商材の性質上どうしても言及が必要な部位がある場合、毎回同じ指摘を受け続けるのを避けられます。
- 危険度の範囲を決める0〜100%の範囲で、どこから拾うかを指定します。ここが厳しめ・緩めの調整そのものです。
- コメントを書き足して学習させる判定結果にコメントを追記すると、その内容を学習します。「この表現は自社では許容している」「この媒体ではこの言い方は使えない」といった自社固有のルールを、使いながら反映させていけます。
法令の内容そのものは月1回、最新の情報を取り込んでいます。ガイドラインの改正や新しい規制が入ったときに、こちら側で設定を変える作業は必要ありません。
厳しめと緩め、どちらで運用するか
入稿前の一次スクリーニングとして使うなら、厳しめをおすすめします。理由は単純で、過検知は人が見て消せますが、見逃しは気づけないからです。違反を極力ゼロにしたい場合は厳しく設定し、指摘を受けた箇所をすべて修正する運用が安全です。ただしそれでも保証はできません。
一方で、指摘が増えれば確認の手間も増えます。毎回200件の指摘が返ってきて、その9割が消し作業になるのであれば、運用として続きません。最初は厳しめで始めて、消し作業の中身を見ながら除外設定とコメント学習で減らしていくという進め方が現実的です。使い始めの1か月で設定を詰める前提で考えてください。
判定はNG・RISK・事実確認・OKの4区分で返ります。このうちRISKと事実確認は「人が見て判断する」ための区分です。RISKは直ちに違反とは言えないが表現によっては問題になりうるもの、事実確認は表現自体は問題ないが根拠資料の有無を確認すべきものを指します。すべてをNGとして扱わない設計になっているのは、確認の優先順位をつけるためです。
AIに任せられない3つの領域
1. 根拠資料が実在して要件を満たしているかの確認
「No.1」「臨床試験で実証」といった表現には「事実確認」の指摘が出ます。ただし、その根拠となる調査が実際に行われているか、調査の主体と時期と範囲が表示と一致しているか、比較広告の3要件を満たしているかまでは判定できません。資料が手元にあるかどうかは、こちらで確認するしかありません。
2. グレーゾーンをどこまで攻めるかの判断
RISKと判定された表現を使うかどうかは、最終的には経営判断です。商材の性質、競合の状況、過去に行政から指摘を受けた経緯、ブランドとして許容できるリスクの幅。これらを踏まえて決める話で、AIが代わりに決められるものではありません。
3. 媒体の審査担当者とのやりとり
審査に落ちたときの再審査申請や、なぜ落ちたのかが通知から読み取れないときの問い合わせは、人が行う作業として残ります。媒体のポリシーは法律より厳しい部分があり、審査の判断にも幅があるため、個別のやりとりでしか解決しない場面があります。
AIで減るのは「明らかなNGを目視で探す時間」です。判断そのものがなくなるわけではありません。この線引きをしておくと、導入後に「思っていたのと違う」となりにくくなります。
よくある質問
- Q. AIの薬機法チェックはどれくらい正確ですか。
- A. 1つの数字では表せません。明らかなNG表現を拾う精度と、問題のない表現を誤って拾わない精度は別のものだからです。どちらに寄せるかは設定で調整できるため、自社の運用方針に合わせて決める話になります。
- Q. AIのチェックを通せば法令違反はなくなりますか。
- A. なくなりません。AIによる判定である以上、100%の保証はできません。差し戻しの回数を減らすためのものとお考えください。最終的な判断は自社の法務部門または専門家にご確認ください。
- Q. なぜ問題のない表現までNGと判定されるのですか。
- A. 主な原因は、商材区分の指定が実態と違う、前後の文脈で打ち消しているのに該当箇所だけが読まれている、打ち消し表示が離れた位置にある、画像内の文字の読み取り誤差、の4つです。多くは設定で改善できます。
- Q. 厳しめと緩めのどちらで設定すべきですか。
- A. 入稿前の一次スクリーニングとして使うなら厳しめをおすすめします。過検知は人が見て消せますが、見逃しは気づけないためです。ただし指摘が増えるほど確認の手間も増えるので、運用が回る範囲で調整してください。
- Q. AIに任せられない作業はありますか。
- A. 根拠資料が実在して要件を満たしているかの確認、グレーゾーンをどこまで攻めるかという判断、媒体の審査担当者とのやりとりの3つは人の仕事として残ります。
- Q. 自社のルールをAIに覚えさせられますか。
- A. できます。判定結果にコメントを書き足すと、その内容を学習します。法令には触れないが自社では使わない表現や、特定の媒体だけが禁止しているルールを反映させていけます。
- Q. 法令が改正されたら反映されますか。
- A. 月1回、最新の法令情報を取り込んでいます。改正のたびにこちらで設定を変える作業は必要ありません。
- Q. ChatGPTなどの汎用AIと精度は違いますか。
- A. テキストの表現判定に限れば、汎用AIでもある程度の結果は返ります。差が出るのは動画と記事LPです。詳しくはChatGPTで薬機法チェックはできる?で整理しています。
Result+AI法令チェックについて
Result+AI法令チェックは、広告クリエイティブの法令チェックをAIで行うサービスです。テキスト・文章、静止画バナー、動画バナー、記事LP、LPを対象に、薬機法・景品表示法・特定商取引法・医療法・金融関連の法令の観点からリスクを判定し、NG・RISK・事実確認の3段階と代替案(推奨表現)を返します。運営は東証スタンダード市場に上場する株式会社ピアラです。
| 提供元 | 株式会社ピアラ(東証スタンダード市場上場) |
|---|---|
| チェック対象 | テキスト・文章/静止画・静止画バナー/動画・動画バナー/記事LP・LP |
| 対応法令 | 薬機法、景品表示法、特定商取引法、医療法、金融関連の法令ほか(月1回更新) |
| 料金 | テキスト100円/画像500円/動画1,000円/記事LP・LP1,000円(従量課金) |
| 所要時間 | テキスト・画像は約1分、動画・LPは約5分 |
| 主な利用者 | 事業主、広告運用・制作会社、ASP |
| トライアル | 3,000円分の無料トライアルあり |
| 公式サイト | https://www.resultplusai.com/ |
ピアラは年間100万本近くのバナーと年間1万本以上の記事LP・LPを自社で制作しており、そのチェックにこのシステムを使い続けてきました注4。スプレッドシートとGoogleドライブで完結するため、専用システムの導入や既存フローの変更は必要ありません。チェック結果にコメントを書き足すと内容を学習するので、自社の社内レギュレーションや媒体独自のルールを反映させながら精度を上げていけます。
自社の原稿で精度を確かめる
精度の話は、実際に自社の商材の原稿を入れてみるのがいちばん早い判断材料になります。Result+AI法令チェックは3,000円分の無料トライアルから始められます。判定の粒度が自社の基準に合うかどうかを確認してください。
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注釈
注1:所要時間の比較について
外部の法令チェックサービスや人による目視確認では、動画・記事LP・LPは依頼から結果の受領まで2営業日程度かかることが多い。これを実時間に換算すると 24時間 × 60分 × 2日 = 2,880分。Result+AI法令チェックは同じ対象を5分以内で処理するため、2,880分 ÷ 5分 = 576となる。当社が外部委託していた際の実績に基づく比較であり、依頼先・ボリューム・繁忙状況により所要時間は変動する。処理時間はチェックの速度を示すもので、広告の成果を示すものではない。
注2:料金水準の比較について
2026年9月、当社調べ。公開情報で料金を確認できた薬機法チェックサービス・ツール12件と比較した。1件(1枚)あたりの単価を公開しているサービスは5,500円〜8,250円、月額制のツールは月額11,000円〜110,000円(一部は従量課金を併用)。Result+AI法令チェックはテキスト1件100円、画像1枚500円、動画1本1,000円、記事LP・LP1本1,000円。無料またはβ版として無償提供されているツール、および料金を公開していないサービスは比較対象から除いている。
注3:判定画面と判定件数について
掲載した判定結果は特定の1本の動画広告に対するもので、平均値や標準的な件数を示すものではない。件数はチェック対象に含まれる表現の数だけ出る。掲載にあたっては広告主の許諾を得ている。
注4:制作本数について
「年間100万本近くのバナー」「年間1万本以上の記事LP・LP」は当社の制作実績に基づく概数であり、年度により変動する。
注5:本記事の記載時点について
本記事における法令・ガイドラインおよびサービス仕様に関する記述は2026年9月時点の情報に基づく。AIによる判定は入力内容・設定により結果が変わるため、本記事の記述が個別の判定結果を保証するものではない。具体的な表現の可否については、自社の法務部門または専門家にご確認いただきたい。
